格ゲーの面白さは、
勝負に勝つこと。
コマンド入力を代表とする操作の難しさ。そうであるからこそのコンボを決める爽快さ。
読み合い。
だと思っていました。
本格格ゲー初心者が「ストリートファイターV(以下、スト5)」に挑戦してみて、自分の中で多くを占めていた楽しさはそうではなかったということを紹介します。
「本格格ゲー初心者ってなんだ?」と思うことでしょう。
格ゲーに触れたことがないわけではなく、ストリートファイターⅡ、ジョジョの奇妙な冒険(PS版)、スマブラ、東方Project格ゲーなど人生の所々で親しんではきました。
また、青年期にはろくに触ったことがないストリートファイターZEROシリーズやギルティギアシリーズで兄や友人のサンドバックとなり、心の痛みを感じなくなるまで鍛えられた忍耐力はのちに上司からのパワハラに耐える力に繋がったと思います。(そんなことないか。)
そのせいで、本格格ゲーなんて絶対やるもんかという思いが細胞レベルにまで刻み込まれていたので、のちに格ゲーをやるとは予想だにしていませんでした。
誘われればどんなところでもついて行ってしまうタイプの僕は、「スト5は初心者にも易しいからやろうよ」という友人の甘い言葉にすっかり騙され、気づいたら後戻りできなくなっていたのです。
と聞くと、「やってみたらハマって抜けられなくなった!!、格ゲー最高!!」となったのかと言えば、そんなことはまったくありませんでした。
むしろ、始めて3ヶ月ぐらいで心が折れていました。
ランクマッチの下から3つ目の階級で挫折し、「みんな強すぎて勝てないし、もうやめようかな。」と思っていたとき、スト5の大会を開催している方と偶然知り合い、興味半分で参加してみたところから僕の格ゲー人生が一変しました。
そこから起こったことが以下の3つです。
月例大会
スト5の大会を開催している方と知り合い、月例で開催される大会にほぼ毎回参加しました。
この大会の良かった点は、
- 初級者向けの交流大会だったので、初心者でも気軽に参加することができた。
- 大会終了後には誰でも飛び入り参加自由の対戦会(バトルラウンジ)を行っていたため、上位プレイヤーとも交流できた。
- 大会には馴染みの参加者や視聴者がいてコミュニティのような空間になっていた。
同キャラ使いの上位プレイヤーに弟子入り
大会で同キャラ使いの上位プレイヤー(師匠)と出会い、弟子入りを志願。
キャラクターの使い方を教わり、壁にぶつかった際にアドバイスをもらいました。
対戦仲間
それまで対戦するのは格ゲー友達だけだったのですが、大会で知り合った方とフレンドになり、対戦しました。
僕はコミュ障なので頻度は決して多くありませんでしたが、見ず知らずの方とフレンドになって、ボイスチャットをしながら対戦するというのは刺激的な体験でした。
もちろん、大会で関わった方々がフレンドリーで、コミュ力が高い方が多かったことはこの経験の重要なポイントです。
これらの要素が組み合わさったときどうなるのか?
部活のようなコミュニティの楽しさが生まれます。
部活と聞くとネガティブなイメージが先立つという方は、趣味のサークルをイメージした方が合っているかもしれません。
月例の大会は、日頃の練習の成果を試す場であり、ライバルや師匠の観ている中で行われる雰囲気は、学生時代の他校との練習試合を彷彿とさせるものがありました。
上位プレイヤーの師匠からアドバイスをもらうのは、まさに部活の先輩にフォームやテクニックを習うようです。
すると、スト5の練習のモチベーションも自然と高くなります。
- 毎月の大会で、今度は優勝したい!
- 運営の方、常連の方、師匠に前回よりうまくなった姿を見せてびっくりさせたい!
- ライバルのフレンドに、前回は負けたけど次こそは勝ちたい!
と意気込みが生まれます。
この経験から、人との関わりの中でこそ格ゲーは楽しい!と感じました。
「では、人と関わってさえいれば楽しいのか」と言われればそうではないことを、繋がり方の違いを挙げて、おさえておきたいと思います。
まず、オンライン上でランダムにマッチングする対戦(野良)は、他人と交流したとは全く感じません。
コンビニ店員とレジでやりとりしたことを、「ほら、他人と交流したでしょ」と言われるくらい的外れなものです。
野良のネット対戦は非常に蛋白です。
確かに相手が人間であることは同じですが、言葉が交わされない。またお互いランクを上げることを目的に機械的に流れ作業で対戦しているだけなので、CPUとの対戦に近い感覚です。
そのくせ、舐めプや挑発といった相手の嫌な面ばかりが感じられ、対人の楽しさという観点で見ればマイナスのことが多いです。
おかげさまで、ブラックリスト機能を使いこなすまで成長しました。
次に、友達との対戦はどうか?
格ゲーに限らずゲームで友人と遊ぶのは、没入・創造に並ぶゲームの3大楽しさのひとつです。(※自分で考えました)
あくまで、素晴らしいことを前提としたうえで、ずっと同じ友達と対戦するだけでゲームを終えてしまうのはもったいのではないかと思っています。
大会への参加や新たな交流に身を乗り出してみることで得られるものが多いからです。
大会は真剣勝負だからこそ、「手に汗握る勝負から生まれるドラマ」、「拳を交わした相手への敬意」、「初めて戦うキャラクター、初めて見る戦い方への驚き」があります。
また、試合だけではなく、そのゲームを好きな人が集うお祭りとしての魅力があります。踊る者(プレイヤー)、囃し立てる者(実況・コメント)、見て楽しむ者(観戦者)、三者三様の楽しみ方があります。
新たな交流という点では、自分自身は大会をきっかけに知り合った方ぐらいなので、あまり偉そうに言う資格はありません。
ただ、ゲームだけに限らず、同じ趣味を持つ仲間と意気投合するような出会いというのは、飛び抜けて嬉しいことのひとつだと思います。
対戦するためにゲームをやっているのか、仲間と遊ぶためにゲームをやっているのかときどき分からなくことがありますが、どっちでもいいと思えます。
普段はぼっち体質の僕が、ゲームを通してこんなにも他者と繋がれることに驚きが隠せません。
大人になると友達なんてできないものだと思っていましたが、そのような機会がゲームの世界で待っているとは想像していませんでした。
だから、せっかく格ゲーを遊ぶのであれば、大会やSNSなど、新たな出会いを与えてくれるような場に思い切って飛び込んでみることを勧めたいと思います。
僕のゲームへの関わり方として、「何のためにゲームを遊ぶのか」という目的を持って遊ぶことを意識しています。
スト5では、上達する楽しさを追求したいという目的がありました。
たしかに、ランクがあり、上位を目指してプレイします。初めはできなかった連携や長いコンボが決められるようになれば嬉しいです。
ですが、スト5を終えてみて、僕の中で大きく占めたものは上達の感動ではなく、格ゲーのコミュニティ的なつながりの楽しさでした。
ついには、僕にスト5を買わせた友人に、今度は僕がスト6を買わせることになりました。
スト6ではプレイヤーがアバターを作って、バラエティに富んだ交流ができるようになるでしょう。ゲームセンターで仲間が集まってガヤガヤするのは楽しみです。
スト6では、「人とのつながり」を意識して楽しんでいきたいと思います。
最後に、スト5でお世話になったみなさん、本当にありがとうございました。
【僕に繋がりを与えてくれた方々】
大会「Sameno Cup」の開催者、鮫野ひばちさんのtwichチャンネル
師匠のtwitchチャンネル