樋口進『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』のレビューです。
まえがき
ゲームのブログを始めるにあたって、ゲームに関する本を探していた時に偶然出会ったのが本書です。
別記事で「ゲームのメリットとデメリット」という記事を書いていることもあり、
まさにゲームのデメリットと言わんばかりのタイトルにそそられました。
※本書ではネット依存とゲーム依存を区別せずに語っているので本記事でも区別せずに書きます。
一番衝撃を受けたこと
なんとWHOが「ゲーム障害」を病気として認定したそうです!
また「ゲーム障害」の診断ガイドラインが公表されました。
WHOと言えば、世界保健機関…ってわかっとるわ!と言われそうですね
そんな世界的な機関が認定するというとなんだか凄い。(小並感)
それだけ世界中でゲーム依存が問題となっているということなのでしょう。
日本でもネット依存・ゲーム依存が問題視されています。
その中で生徒がオンラインゲームにのめり込み学校生活に支障をきたしていると書かれています。
また、厚生労働省研究班の調査によると「ネット依存」の疑いが強い中高生が全国に約93万人もいると書かれていました。
ゲーム依存・スマホ依存テストをやってみた
本書の冒頭にゲーム依存テストとスマホ依存テストが載っているので実際にやってみました。
ゲーム依存テスト
テストの正式名称はIGDT-10(Internet Gaming Disorder Test 10)らしいです。
IGDT-10の日本語版は下記のサイトに掲載されていました。
〈やってみた結果〉
合計5点以上で「ゲーム依存」のところ
なんと0点!
ただし、本書ではまったく当てはまらない以外の回答を1点と数える厳しい採点になっているので本書に従うと4点でした。
厳しめに見てもどうやらゲーム依存ではないようです。(ホッと安心)
スマホ依存テスト
韓国で用いられているスマートフォン依存スケールの短縮版。
下記のサイトに掲載されていました。
<やってみた結果>
合計31点以上で「スマホ依存の疑いがある」ところ
31点!スマホ依存の疑いあり
ゲーム依存のテストで安心していたところで思わぬ失態。
ちなみに僕はスマホライトユーザー(自称)のうえ
スマホゲームもやっていません。
スマホの依存性恐るべし
みなさんも是非やってみて下さい!
ゲームライフに活かす
本書を読んで得た知識からいかにゲームライフに活かすかを考えたいと思います。
本書でゲーム依存の原因として考えられているのはこの2つ
スマホ
オンラインゲーム
「スマホ」はいつでも、どこでも手軽にできる。
「オンラインゲーム」は時間と金をかければ容易に達成感が得られる。
という特徴があります。
スマホがない時代はちょっとしたスキマ時間は暇を持て余していていましたが、スマホのおかげで退屈しません。オンラインゲームが手軽に楽しめるなんて、夢のような時代になったもんです。
僕としてはオンラインゲームの着実にレベルを上げる楽しさとイベントの高揚感は分かります。MMORPGは経験あり。
さらには課金やログインボーナス、ランキングとハマる要素が豊富で、刺激的になっています。
僕はソシャゲには精通していないので、あくまで携帯ゲーム機とMMORPGの経験がある立場からスマホ・オンラインゲーム(ソシャゲ)に対する擁護と批判を書きたいと思います。
擁護
「ゲーム障害」という言葉が生み出され、新聞の記事に載るようになり今後メディアによる「ゲーム障害」ブームが起きると思います。教育・医療に関するネタとしてバラエティでも取り上げられるでしょう。
ここで、「ゲーム障害」という言葉だけが独り歩きするのは良くないので
WHOの「ゲーム障害」に関するQ&Aから解釈を補足しておきます。(誤訳があったらごめんなさい)
- 「ゲーム障害」と診断するための行動パターンは、個人、家族、社会、教育、職業または他の重要な機能分野において重大な障害をもたらすほど十分に重症でなければならず、通常12カ月間継続している。
- WHOが「ゲーム障害」を認定した目的は「ゲーム依存」の治療プログラムの開発やこの疾患の発症のリスクに対する医療従事者の関心を高めることにある。
- 『ゲームをする人すべてが「ゲーム障害」になることを懸念する必要があるか』という質問に対し、WHOは研究によるとゲームをする人のほんの一部にしか影響がないとしたうえで、ゲームをする人の肉体的、精神的、および社会生活への変化に注意を向ける必要があるとしている。
<参考>Gaming disorder Online Q&A
つまり、ゲーム障害に対する医療の発展と注意喚起を目的としており、「ゲーム好きは病気を疑え」という話ではありません。
また、依存症にはいろいろあります。薬物や酒、タバコは依存性物質が含まれるので明らかに悪影響があることは分かりますが、ゲームをすること自体に依存症を引き起こす作用はありません。
薬物は「物質依存」ですが、ゲーム依存は「過程依存」に分類されます。
<参考>脳とニューロン.『ニュートン』別冊
なのでハマっていてもゲームのするしないをコントロールできていれば問題ないと思います。
批判
僕はソシャゲをやりません。だから批判が的外れなこともあると思います。
まず、なぜやらないかと言うと
- 時間がもったいない
ソシャゲをやる時間があれば外ではメルマガや本を読んだり、家なら据え置きゲームをやる - ゲーム専用機(据え置き・携帯含む)用のソフトのほうがクオリティが高く面白い
- スマホをネットに接続する手順を自分で面倒にしている
スマホは携帯キャリアと契約していないため、ネットを使うときはルーターを使用している
完全に個人的な意見ですね。1.2.あたりは共感してくれる友人もいます。
スマホで暇つぶしをしているはずが時間をつぶされたら元も子もありません。
え?ゲームは暇つぶしじゃありません!
次に、ソシャゲの商法が好きじゃない。
あの手この手でユーザーを虜にしています。
本書で取り上げられている要因を箇条書きにすると
- 基本は無料
- ログインボーナス
- 期間限定イベント
- コラボ
- ガチャ
- ランキング
- ゲーム情報の通知
- SNSとの連携
といった具合でしょうか。
客(ユーザー)を獲得するために効果的かつ効率的な手法を駆使することが良いか悪いかというと、悪いとは言えません。それは、他業種でも行われていることだと思います。ましてや資本主義では儲けることが称賛されます。
ただし、ゲーム運営会社が意図的にユーザーをゲーム漬けにしその結果ユーザーが依存症になることを分かってやっているのだとしたら「過失」ではなく「故意」のものです。
また、本書では社会的背景も原因だとしています。
現代社会は閉塞感が強く、なかなか満足感を得られにくいことも関係しているのでしょう。
実際ストレスがかかると、依存的行動に陥りやすくなるそうです。
ソシャゲの商法を親切に楽しさを提供し続けてくれる良いサービスだと思わず、術中にはめられてカモにされるという見方を持つべきだと思います。
あとがき
なんだか個人的な見解が多くなりましたが、本書について説明します。
著者はネット依存やアルコール依存、ギャンブル依存などの専門の先生で、WHOの「ゲーム障害」診断ガイドラインの作成に研究協力された方です。また、国内初のネット依存専門外来を設立されており、日本の「ネット依存」治療の第一人者と言えます。
本書の内容は一般人目線で分かりやすく作られており、批判を並べた説教臭いものでは決してなく、ゲーマーも納得の解説をしています。治療の方法や家族でできる対処法が載っており、素人の感覚ですが実践的で有効そうな治療法だと感じるものでした。
自分や周りの人がネット依存・ゲーム依存になりそう、または疑わしいと思ったときに役に立つと思います。
[商品リンク:樋口進『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』]