15年前の悲劇
アスラ27式を倒しても、父と母を救えず過去を変えることができなかった虚しさにシオンは打ちひしがれています。
そんな中、少女シオンは現実を受け止められず、独りつぶやくように、誰かに訴えかけるように喋り出します。
少女シオン『戻さなきゃ ―』
少女シオンが叫ぶと、それに呼応するかのようにゾハルが輝き ―
空中に大型グノーシスが召喚されます。

ゾハルに腕と頭が生えているように見えますが、これはオメガです。
病室内にもグノーシスが現れ、KOS-MOSとジンの力で倒しますが、シオンは今起きている事態が信じられず、
シオン『ウソよ こんなの ―』
シオン
『こんな事ありえないわよ ―』
『嫌よ ― こんなの』
『ねぇ 誰か ― ウソって言ってよ』
気が動転し、恐怖が最高潮に達したシオンが叫ぶと ―
ミルチアの宙域に巨大な物体が出現します。
これにJr.は違和感を唱えます。
さて、ここらへんで僕も「え?存在しなかった現実??これってウソなの!?」とパニックになってきたところで、みなさんも同感だと思います。
ご安心ください!
世界の傍観者たるケイオスが解説してくれます。
この世界は過去ではなく、シオンが過去の人々の意識を復元して創り出したシオンの心の世界
テスタメントたちがレンヌ・ル・シャトーでシオンを襲った理由は、アベルの方舟を呼び出すことであり、大人シオンと少女シオンの心の叫びを引き起こすことにあった。
重要なのは、
15年前には、ゾハルの暴走とグノーシスの出現は起きているけど、アベルの方舟は出現していないということです。
そこへ、さらなる解説をくわえに、スペシャルゲストが現れます。
シオン『― せ 先輩』
アレン『そんな ― ケビンさん』
ケビンは、過去のミルチアに出現したグノーシスは、ミズラヒやJr.たちが呼び出しものではなく、ウドゥの求めに応じ、幼いシオンが呼び出したものだったと言います。
“ウドゥの求めに応じ”のところがよくわかりませんが、
ウドゥ『お前は何を望む?』→少女シオン『こんな世界は嫌!』→グノーシス召喚
みたいなことでしょうか?
さっきまで、茫然自失だったシオンも元カレの登場に、急に生気を取り戻してしまいます。
甘い言葉で、再び勧誘を始めるケビン。~以下、対話を要約しました~
シオン『(あなたは)どうして、テスタメントなんかに』
→ケビン『目に見える姿など関係ない、僕は何も変わっていない』
シオン『過去のあなたは、多くの人を、レアリエンを、母の命を(奪った)』
→ケビン『仕方なかった。すべては君の為。』
シオン『私の為?これが?すべて私の為だと言うの?』
→ケビン『僕はいつも君のことを考えていた。僕と共に行こう、僕には君が必要なんだシオン。』
こんな、いかにも誠実に返事している風で、まったく問いに答えていない会話を聞かされて、キツネに頬をつまみ上げられているような感覚に襲われている僕。
ここで、”みんなの気持ちの代弁者”Jr.が食って掛かってくれます。
Jr.は『何様のつもりだよ!?』と、シオンをもてあそび、悲惨な過去を味あわせた所業を責めます。
ケビンが、ケビンらしい(憎たらしい)顔をしたところで、納得の行く説明が展開されるのでしょうか?
【納得の行く(?)説明】
シオンは母親と同じ病に侵されている。
シオンやシオンの母を含めた被検者は、ウ・ドゥに意思を伝達することができる
被検者はウ・ドゥとの直接接触の負荷に意識が耐えきれず、昏睡状態となり死んでいく
うんうん。
⇨だから、君(シオン)を救うためにこの姿になって、T-elosと一緒に君を救いに来た

・・・?どういうこと!?
これを聞いたアレン君は、「だったらウ・ドゥとの接続実験をやめればいい」と言いますが、「それはできない」と、自身もウ・ドゥとの接触経験があるJr.は言います。
さらに、“T-elosがシオンを救う”という言葉にアレン君は怒ります。
よりによって、統合試験場でKOS-MOSを辱め、レンヌ・ル・シャトーでKOS-MOSを破壊した憎い存在であるT-elosがシオンを救うなどと、
そしてそれが、KOS-MOSを開発した張本人の口から出たということが許せないんでしょう。
僕としても、アレン君の気持ちがよく分かるので、下に補足しておきます!
ケビン亡きあと、シオンがKOS-MOSの開発をケビンのためだと信じて行ってきた姿を見ている
シオンとケビンの恋愛を羨ましく思いながらも、自分が入り込む余地がないと諦めてきたアレン君は、シオンがKOS-MOSの開発をケビンとの絆としてこだわってきたことをやるせなく思いつつも、それがシオンのためだと自分に言い聞かせてきたが、もしKOS-MOSの存在意義がないとしたら、これらがまったくマヌケな話になる。
ケビンは、KOS-MOSはT-elosのためのデータ収集とシオンのモニタリングを兼ねた試作品だと言い、本作の謎だったKOS-MOSの秘密を明らかにします。
KOS-MOSの力はゾハルを源泉とし、ウ・ドゥからもたらされる
⇨神の力をウ・ドゥを媒介して得ている?
だから、KOS-MOSが力を使う度に、ウ・ドゥとシオンが感応し、シオンに負荷がかかる
⇨シオンがKOS-MOSといると危ない

え!?KOS-MOSがゾハルの力を使ってるって、かなり驚愕の事実では!?しかし、なぜかこの点はスルー。
KOS-MOSがシオンを害するという事実に、シオンとアレン君は動揺を隠せません。

そんなことより、ゾハルの力使ってるって(ry
これがチャンスと、ケビンの甘い誘惑がまたまた始まる!
ケビン
『シオン 僕と一緒に来て欲しい』
『君を救う為には この方法しかないんだ』
『僕は 君を失いたくないんだ』
シオン
『ケビン先輩に会えて良かったって思ってる』
『ずっと ずっと 会いたかったから ―』
『もう 二度と会えないと思っていた ―』
ケビン
『約束するよ』
『もう君の側を離れない』
『ずっと一緒だ ―』

まったく、人を説得するにはちゃんと納得できるように論理的に説明をしないと!こんな、甘ったるいポエムじゃ誰も落とせませんよっ(非モテの論理)
・・・(と、思っていたら)
いかーん!!シオンがケビンの方に駆け出す!
これは、まずいと判断したジンは、KOS-MOSにシオンを連れて逃げるように言います。
対して、ケビンはKOS-MOSにシオンを連れて自分たちのところへ来るように命令します。
KOS-MOS
『ケビン・ウィニコット』
『申し訳ありませんが 私は貴方の命令を聞くようにプログラムされてはおりません。』
ケビン『創造主に逆らうつもりか』
KOS-MOSは嫌がるシオンを気絶させ、逃走を図ります。
ムービー
バイクの滑走シーンはたまりません!
KOS-MOSって、バイク(正式名称:タブバイク)を転送できたんですね!?

こんな便利な能力を隠していたとは
ちなみに、KOS-MOSの必殺技”G-SHOT”のガトリングガンなども転送システムを使って呼び出しています。
ヨアキムの最期
ゾハルの制御室でヨアキムをセラーズが止めています。
ヨアキムは、グノーシスが宇宙中に広がるのを阻止するために、ゾハルを暴走させ、ミルチアごと消滅させようとしているのでしょう。
セラーズは、ヨアキムが娘を復活させることに失敗したためやけを起こしたのかと言いますが、ヨアキムはそれを否定します。モモとの対話で話したように、亡き娘とは違う新たなる命、つまりモモに希望を見出し、モモを守りたいという思いから行動しているのが分かります。
阻止しようとするセラーズの足を撃ち、ヨアキムはラビュリントス上階へ上がります。
ヨアキムは、モモが生まれてくる未来が平和であるように、ミルチアの星と人々を犠牲にすることを選びます。
『この 私の罪は決して消えることはないだろう』
そして、高々と唱い出します。
ハレルヤ
海はその中にある死人を出し
死も陰府もその中にある死人を出したれば
各自その行為に随ひて審かれたり
かくて死も陰府も火の池に投げ入れられたり
此の火の池は第二の死なり
全て生命の書に記されぬ者は
皆火の池に投げ入れられたり
突然この詩が始まったときは、「なになに?どういうこと?こわいこわいこわい!」という感じですが、調べたところ、どうやら元は新約聖書の『ヨハネ黙示録』から来てそうです。
間に合わせの解釈で失敬しますが、
キリスト教では(第一の)死後、魂と肉体が分離し、神を信じる者は天国に召されます。しかし、罪人は火の池に投げ込まれ、第二の死を迎えます。
つまり、ヨアキムは自分が大罪を犯したため、地獄へ送られ、永遠に罰を受けなければならないことを覚悟していることを詩という形で表現しているのでしょう。
もしかすると、本作においては、神の怒りを買った者は、U.M.N.(意識世界)に還ることができないことを喩えているのかもしれません。

また、読む本が増えました(汗)今後『ヨハネ黙示録』を読んで間違っていたら訂正します。
【追記】
その後、『ヨハネの黙示録 (講談社学術文庫)』を読んだところ、ヨアキムの語った詩は、ヨハネ黙示録の「最後の審判」の一節だと分かりました。
死人たちは命の書に記録されていることに従い裁かれた。海は死人たちを引き渡し、黄泉も死人たちを引き渡した。
そして、一人一人が各々の行いに応じて裁かれた。それから、死と黄泉とは火の池に投げ込まれた。この、火の池が第二の死である。そして、命の書に(その名が)記録されていないことがわかった者は、その火の池に投げ込まれた。
『ヨハネの黙示録 (講談社学術文庫)』より、一部改変あり
本書によると
第一の死は、体の死
第二の死は、魂(までも滅ぼされる)の死
を指すとされています。
本セリフの解釈にはそれほど関わりませんが、死の意味が異なっていました。
『サクラ 私はお前の居る場所には行けないだろう』
『こんな私を お前は責めるのだろうな』
次の瞬間 ―
ヨアキムはラビュリントスから転落していきます。
落ちゆく中、妻であるユリに『私達の子供を頼む』と言い、最期を遂げます。

誰が、何のためにそんなことをしたんだろうか。
セラーズは足を撃たれて動けないし、マーグリスは(当時の)ジンにやられてるはずだし…となると、ウィニコット…?
ミルチア消滅
ラビュリントスの病室内では、建物が崩壊するなか、エルザが助けに来ます。
天井が崩れ落ち少女シオンの姿が見えなくなりますが、そこには妹を抱えた当時のジンの姿が。(画質が悪いですが、画像上)

本来ならジンがアスラ27式を倒して救出したんでしょう。
そして、ミルチアはゾハルの局所事象変異により消滅します。
彼らの狙いは
はい、やっぱり登場、”カゲのドン”ヴィルヘルム。
E.S.らしきものの上に乗り、ケビンの報告を受けています。

よく見たら、もう赤い外套者じゃなくて、ケビンになってますね(笑)
<新たに出てきたキーワード>
神の半身…太古、聖女によって別たれたとのこと。
「一つ目」は、アベルの方舟のことでしょうから、一つ目の神の半身ということでしょう。となると、神の半身は複数ある?
宇宙のフェイルセイフ…フェイルセーフ;fail safeとは機械が壊れたとき、安全に止まるように設計すること。たとえば、踏切の遮断器が故障した場合、自動的に遮断器が降りるように設計されている。
ヴィルヘルムは『宇宙のフェイルセイフを発動させる訳にはいかない』と言っています。人間がゾハルの力を使って宇宙の秩序を乱したことで、その自浄システムとして、宇宙のフェイルセイフとやらが起こるのではないでしょうか。
なんとなくですが、人類の絶滅とか、世界崩壊とか?
はじまりの刻
ヴィルヘルムの狙いが世界のあり方を思い通りに変えることにあるならば、宇宙の再創造を起こそうとしているのか、はたまた、本当に今の宇宙が始まったときに戻そうとしているということでしょうか。
その上で、宇宙のフェイルセイフとやらが起こったら困ると言っているので、本来は人類は滅亡するはずだけど、自分たちは死なずに宇宙を”がらがらぽん”して、神の半身を使って神の力を操り、神のような存在になろうとしているということ!?
様々な謎を匂わせつつ、物語は後半へ
~7章終了~
これにてDISC1終了です。
7章の記事を書き上げるのにえらく時間を要してしまいましたことをお詫びします
7章は、隠されていた真相が次々と明かされるため、小説で伏線が一気に回収されたときのような高揚感がありつつ、キャラクターの過去の因縁に迫る感慨深い章でした。
もしかすると、DISC1で前作までの謎を明かし、DISC2から「物語は一気に核心へ」という構成なんでしょうか!?
6章終了時点で、本作の考察を書きましたが、アベルの方舟がもう出てきてしまったので、ラストステージなんじゃないかという読みは早速はずれました
それと、バージルがゴールインしてしまったのは予想外!
でも、読みが外れることも含めていろいろ想像力を掻き立ててくれるので、予想すること自体が本作の面白さではないでしょうか!
うーん。ゼノサーガⅢのシオンはやっぱり可愛いですね。
前回【パート29】

前回【パート27】
