これまで、趣味のゲームが世間からの理解をなかなか得られず肩身の狭い思いをしてきました。
だからこそ「どのくらいの人がゲームをしているのか?」、「昔に比べてゲーム人口*は増えているのか?」というところが気になります。
今回、統計データをもとに調査した結果を報告します。
複数の調査年、年齢、性別による違いを調べました!
出典:総務省統計局、株式会社アスマーク
1. 総務省統計局
社会生活基本調査
生活行動に関する結果
「趣味・娯楽」、「スポーツ」
1996年~2021年
2. 株式会社アスマーク
趣味に関するアンケート調査
2014年、2021年
ゲーム人口の変化
調査結果
総務省の統計データより
趣味・娯楽の時間にゲームした人の割合(平均行動者率)について、
1996~2021年の男女(総数)、男、女のそれぞれの結果をまとめました。(下表)
平均行動者率が50%を超えるものは緑、60%を超えるものは黄、70%を超えるものは赤で表示しました。
- 総数
- 男
- 女
データから読み取れること
総数:男女全体
- 全年齢における平均行動者率は1996年に比べ2021年では1.6倍に上昇している。
→ゲーム人口は増加している。
- 10~14歳においては、平均行動者率に大きな変化はない。
→1996年からすでに7割以上の子供(10~14歳)がゲームで遊んでいるため、需要がほとんど飽和していると推測する。
- 時代が進むにつれ、全年齢のゲーム人口が増えていることにくわえて、より高い年齢層のゲーム人口が増えている。
→高い年齢層にゲームが受け入れられるようになったというよりは、子供の頃からゲームを遊んでいた人の年齢が上がり、スライド式にゲーム人口が増えていると思われる。
調査の年齢区分が5歳ごとかつ5年置きに調査されているので、例えば「総数の1996年の10~14歳:76.8%に注目したときに同じ調査対象の世代が2001年には15~19歳:68%になっている」というふうに斜め右下方向にデータを眺めていったとき平均行動者率にそれほど大きな変化はない。
男女:性別による違い
違いが分かりやすいように男女差の表を作りました!(下図:男性の平均行動者率-女性の平均行動者率)
あわせてご覧ください。
10%以上の差を黄、20%以上の差を赤で表示しました。数値が大きいほど、男性と女性の平均行動者率の差が大きいことを示しています。
- 男女の平均行動者率の差
- 男性の方が女性に比べてゲーム人口が多い。
- 年々男女差が少なくなっている。
→ゲームをする女性が増えている。
- 10~49歳においては、2021年時点で男女ともに平均行動者率が50%を超えている。
→50歳未満においては二人に一人以上がゲームをしている。
- 男性は2021年においては10~34歳で7割を超えている。
→若い世代(10~34歳)の男性にとってゲームは多数派の趣味。
- 女性は2021年においては10~34歳で6割を超えている。
→若い世代(10~34歳)の女性がゲームをしていても普通。
趣味・娯楽のランキング
ゲーム人口が増えていることは分かったけど、「他の趣味・娯楽と比べてどうなのか」気になると思いますので、趣味・娯楽のランキングも作ってみました。
総務省統計局
総務省統計局のデータをもとに、男女(総数)、男、女それぞれの趣味・娯楽のランキングトップ3をまとめました。
ゲームは黄色で表示
- 男性は2001年からゲームが3位入りした。
- 女性は2016年からゲームが3位入りした。
- 2021年では男女ともにゲームが1位となった。
→データで示したように、ゲームをする男性は昔から多かったこと、そして女性のゲーム人口が年々増加していることがよく分かる。
株式会社アスマーク
総務省統計局のデータの難点として、あくまで行った日数で数値の大小が決まっているため、ゲームが趣味ではない人を含んでいます。
そこで株式会社アスマークによる趣味に関するアンケート調査をまとめましたので、こちらの方が趣味のランキングとしては合っていると思います。
調査方法は自由回答
- ゲームの順位を見ると男性については総務省統計局調べで2016年に1位ですが、アスマーク調べでは2014年に8位です。
また、女性については総務省統計局調べで2016年に3位、2021年に1位ですが、アスマーク調べでは2014年にランク外、2021年に10位です。
→この違いは、まずスポーツを含め総務省統計局の調査票に書かれていない項目の実態を反映できないこと、そして趣味を聞かれたときにゲームを趣味と考えるかどうかによって回答が異なることが原因と思われます。
人によって趣味の定義が異なるため、例えば趣味と言えるほどゲームをしていない場合やゲームは趣味ではなく暇つぶしだと考えた場合は趣味に含まれないでしょう。
スポーツ人口
ゲームとスポーツは陰と陽、水と油、オタクとリア充(?)という因縁があり、決して無視できません!
…という話ではなくて、スポーツと言えば趣味の一強であるものの、総務省統計局調査ではスポーツと趣味・娯楽の調査区分が別々だったため、単純にスポーツとゲームの人口を比較したかったわけです。
平均行動者率を比べるとどちらが多いか分かります。
データから読み取れること
- スポーツ人口は2011年に最も低く、1996年や2001年に比べると減少傾向にある。
- スポーツ人口はゲーム人口よりも多い。ただし、2021年の15~34歳の男性についてはゲーム人口の方がスポーツ人口よりも多い。
→これはゲーム人口が増えていることとスポーツ人口が減っていることの両方向の要因がある。2021年のスポーツ人口とゲーム人口の逆転はコロナ禍による一時的な影響が考えられる。
ゲーム人口がスポーツ人口を上回ったことは宿敵に一矢報いたようで嬉しい気もします。でも、冷静に考えると人々が運動しなくなっていくことに対しては「それはちょっとまずいんじゃない?」と思ってしまいます。
次の調査が2026年に行われるとして、コロナ禍のスポーツ人口の減少から復帰するのか、そしてそのときゲーム人口は下がってしまうのか気になるところです。
総括
ゲーム人口の増加について
ゲーム人口の推移を見ていくと、年々増加していることが分かりました。
ただし、ゲームをやっていなかった世代がやるようになったというよりは、もともとゲームをしていた世代が年齢が上がってもゲームをしているため増加したと考えられます。
てっきりゲームのクオリティが上がったことやオンラインでゲームが遊べるようになったなど技術革新のおかげでゲームが普及してきたと思っていたのですが、そうではなさそうです。
とは言え、仕事や育児などを抱える大人がゲームを続けることの大変さを考えると、20~40代の多くがゲームを遊んでいるということこそが、大人も楽しめ、いつでもどこでも誰とでも遊びやすいというゲームの素晴らしさを反映していると考えられるでしょう。
男女の違いで言えば、ゲームは男の趣味という印象がありましたが、女性のゲーム人口も増えてきました。これは、ゲームの内容の変化によるものでしょう。
昔はアクションゲームにしろRPGにしろ血の気の多い作品が主流でしたが、ポケモンやぷよぷよのように可愛らしいキャラクターの登場する作品の登場、パズルゲームの流行、どうぶつの森のような創造的な遊びと交流が楽しめる作品の登場など女性人口の増加の要因として挙げられるでしょう。
2020年に発売されたあつまれどうぶつの森の大ヒットの影響が2021年の調査に表れているかは分かりませんが。
「ゲームが趣味」と言うと白い目で見られることも昔はありましたが、学生であればもはや大手を振って歩けますし、社会人でも若手から中堅と呼ばれる年齢ぐらいでは職場でゲームの話をすることも珍しくない時代になりました。
当ブログで以前、就職面接で趣味がゲームと言わない方が良いという記事を書きました。
このままの推移で行けば現在ゲーム人口が50%強ある40代の人達が採用担当になる10年後はゲームを趣味と言っても、ある程度理解してもらえる時代になりそうです。
共感が得られるかは別として、話が通じるようにはなりそう。
自分の世代:ゲーム人口最多
個人的に面白い発見だったのが、僕の世代が89%という史上最高の平均行動者率を叩き出した2001年の10~14歳に該当する点です。小学生や中学生の頃は学校でゲームの話に花を咲かせ、毎日のように友達の家でゲームをするような生活をしていました。
任天堂のハードだけでもファミコンからスーパーファミコン、NINTENDO64、ゲームキューブ、携帯型でもゲームボーイ、カラー、アドバンスとゲームの進化に次ぐ進化を体験しながら育ちました。
当時の状況が僕をゲーム好きにした理由の一つだと思いますし、その反面、年齢の上昇や上の世代と交流するようになるにつれてゲームをしない人との隔たりを僕に強く感じさせた理由であるような気がします。
趣味であるか否か
行動者率と趣味のランキングの違いも面白いところです。
総務省統計局調べによる2016年と2021年のゲームの行動者率は天下を取ったくらいの高さですが、アスマーク調べによる2014年と2021年の趣味のアンケートではそれほどでもありません。確かに我が身を振り返ると四六時中テレビを観るのに、趣味はテレビ鑑賞とは絶対答えないでしょう。同様にゲームは趣味と呼べるものじゃないという感覚があるのかも知れません。
趣味は他人に向けた自己PRという面があるので、伝統的に悪い印象のあるゲームを趣味と思うことに抵抗があることと、テレビや動画鑑賞のように暇つぶしや気晴らしとしてしか遊ばない場合は趣味とはならないでしょう。
事実、アスマーク調べによる2021年における男性の趣味のランキング7位が「趣味なし」だったことを考えると趣味のハードルは以外と高いのかも知れませんね。
ゲーム人口増加は喜べるか
当ブログでは、ゲームやゲーマーの認められなさを嘆いていますが、実はそんな時代はもう終わりで、これからはゲームをやっていて当たり前の時代のようです。
それはゲームが多くの人に認められていることなわけで嬉しいことのはずです。しかし、ゲーム人口が増加し競争相手が増えることで平凡なゲームファンのプレイやあるいは口にする感動が注目の的になることが難しい時代になるのではないかという不安もあります。
僕の子供時代はゲームをクリアできるだけで、裏技を知っているだけで、アクションゲームでテクニックをひとつ披露できるだけで仲間から尊敬の的になったものです。
勉強もスポーツも苦手だけど、ゲームは得意!
と言える時代から
勉強もスポーツもゲームもだめだ・・・
とゲームで自己肯定感を得にくい時代になったとしたら、ゲームファンにとってゲームが主流になることが必ずしも良いとは言えないと思ったり。
とは言え、ゲームを楽しめるかは本人の情熱でなんとかして、それよりもまずゲームへの理解が広がることが誤った理解にもとづく偏見に苦しめられる僕たちには重要でしょう。
今回の調査はお役に立ったでしょうか?
それでは良いゲームライフを。
<出典>
本記事の表は以下のデータを加工して作成した。
「平成8年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
「平成13年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
「平成18年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
「平成23年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
「令和3年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
「趣味に関するアンケート調査」(株式会社アスマーク)
「趣味に関するアンケート調査(2021年版)」(株式会社アスマーク)
<注意>
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