取引
決着をつけられるかに思えましたが、テスタメントであるヴォイジャーにジギーは歯が立たず、いとも簡単にねじ伏せられてしまいました。
そこへ、カナンがジギーを助けに入ります。
カナン『エーリッヒ、俺と取り引きをしてくれ。』
ヴォイジャー『取引?』
カナンは突然、ヴォイジャーに次のような取り引きを持ちかけます。
ヴォイジャーはテスタメントとになり、不死の体を手に入れたが、その力を司る者(ヴィルヘルム)がいなくなれば力がなくなる。
⇨つまり、ヴォイジャー自身が不死になったのではなく、不死の力を与えられているだけということですね。
カナンに仕組まれたプログラム”プログラム・カナン”は、テスタメント適格者の情報を伝えるために、秩序の羅針盤とリンクしている。
⇨カナンを経由すれば、秩序の羅針盤の力=神の力を手に入れることができる。
つまり、ヴォイジャーに本当の不死の力を与える。
カナンはその代わりに、自らもテスタメントにして欲しいと言います。
はじめ、ヴォイジャーは戯言だと聞く耳を持ちませんでしたが、カナンが「他者を信用することに意味がないと笑ったのは、お前自身だ」と返したことで、ヴォイジャーが話に乗ります。
ヴォイジャーが、カナンの頭に手をやると、秩序の羅針盤へのリンクが開かれました。
ヴォイジャーの手が秩序の羅針盤に迫ったそのとき ー
『何』
『力が ー 力が消えていく ー』
ヴォイジャーの体に異変が起こります。
カナン『お前は 触れてはならぬモノに触れてしまった』
ヴォイジャー『貴様 最初からこのつもりで』
カナンの狙いは、はじめからヴォイジャーを消滅させることでした。
しかし、それは氾濫する力の通り道となっているカナン自身も消滅してしまうことを意味しています。
ジギーは、カナンにやめるよう呼びかけますが、
カナン
『(俺は)皆を裏切る為に存在していたのではない』
『皆を守る為に存在していたいんです』
別れの言葉を遺し、カナンはヴォイジャーを道連れに消滅します。
ジギー『また、俺は助けることができなかったのか ー』
過去に、この場所で妻子を失ったジギーは、再び、大切な人(仲間)を守れなかったことのやりきれなさに俯きます。
Jr.『そんなことねぇよ。アイツは、ようやく己の呪縛から解放されたんだ。』
ジギー『ー そうか お前も、俺と同じ道を選んだのか。ラクティス ー』
9章に入り、今まで伏せられていたジギーとカナンの過去がものすごい勢いで回収され、スプラッシュマウンテンでのけぞるような思いでした。
メンバーの中では、影の薄かったジギーですが、本パートでは主人公と言っても差し支えないでしょう。
カナンに至っては、正直脇役ぐらいの役どころなのではないかと思っていましたが、ジギーやヴォイジャーとの関係が明らかになり、最期には想像以上の活躍を見せてくれました。
例によって、彼らの背景や過去の事件の詳細は、このイベントのあとに解放されるため、プレイ中は話の展開についていけなかったところも多々あり、カナンの最期などは「え!え!?ええええ???」という感じでした。
とは言え、イベントのあとに、物語を噛み締めるというのが本作の醍醐味でしょう。
解説しながら、お話はしたつもりですが、補足の足りなかったところとして、プログラム・カナン(ラクティス)について補足させていただきます。
プログラム・カナン(ラクティス)とは、途中説明したように、カナンに組み込まれた、テスタメント適格者を探索するためのプログラムです。
考察記事にて、秩序の羅針盤ですべてを見通せるヴィルヘルムに、なんで監視プログラムが必要なのか分からないと書きましたが、カナンの役割はシオンたちの監視ではなく、テスタメント適格者の探知であり、要は効率良くテスタメントを探す道具でした。
そのプログラムは、劇中にあったように、組み込まれたレアリエン自身には気づけないように設計されており、その意味を知り、過去を思い出したカナンが自身の存在理由と葛藤していました。
カナンは最期に命よりも、自分の心に正直に生きること、仲間を守ることを選びました。
それは、神の力に恐怖し、永遠の命を望み、仲間を裏切ってきたヴォイジャーとは正反対のものです。
※ヴォイジャーとその事件については、資料が膨大なので、割愛させていただきます。
そして、ジギーは、ラクティスが同じ道を歩んだことで、自らの選択が間違っていなかったことを知り、ヴォイジャーの消滅により、過去の呪縛から逃れられたのではないでしょうか。
さて、ヴォイジャーの事件を担当した特捜班の中には、メリス・オルタスという人物がおり、事件後に、スキエンティアを結成したという記録があります。
となると、ドクトゥスって???
ジギーの仲間はまだ、いるのかも知れませんね!
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