シオンたちは、父スオウを追ってミルチア市街を訪れた。シオンが幼い頃病院だと思っていたラビュリントスの一画は、研究機関の被検者管理棟であることが分かった。父を探しに来たはずが、まさかのヨアキム・ミズラヒと遭遇し、さらにはケビン・ウィニコットがとびだす。
15年前のケビン
ヨアキムから助手のケビンを呼んでくるように言われたシオンたちは、ケビンの部屋へ向かいます。
シオンたちが部屋に入ると、のっけから
『なんですか、君達は?ノックもなしに失礼な!』(イラッ☆)
とガンを飛ばしてくる、少年…ってお前は!?
えええへへぇぇえええええええええ!?
好感度マイナス100万点ボーイはケビンでしたぁぁぁぁぁぁ!!
ケビンは、フェブロニアの容態を報告しろとの博士の要件を聞き、『分かりました』と二人を残し奥の部屋へ消えます。
当然ながら、シオンとアレン君はケビンの雰囲気の違いに信じられない様子。
そら、古教会でトゲトゲのツンツンの対応をされましたからね
あわせて、ケビンがかつてU-TIC機関(敵の勢力)にいたことも心に響いたようです。
特にシオンは、ケビンと恋仲にあったので、相当なショックじゃないでしょうか。
ずいぶんな雰囲気の変わり様、15年で何があったんだ!?
ケビンの卓上のモニターを見ていたアレン君は、驚いてシオンを呼びます。
シオン『ちょっと、これって、KOS-MOSの基礎理論じゃない?』
グノーシス現象に対抗する為の兵器群の主幹OSについて
グノーシス戦における人型兵器の有用性
秩序に従属する戦略的多目的制御体系に関する基礎理論
『Kosmos Obey Strategical Multiple Operation Systems』
なんか、長ったらしく難しい言い回しが並びますが、「~について」、「~の有用性」、「~に関する基礎理論」とか本当に論文の表題っぽさがあります。SFは空想の科学に過ぎませんが、科学の周辺設定をそれらしくしているのは、本作のクオリティの高さですね。
KOS-MOSはヴェクター第一開発局でケビンが中心となって開発しました。アレン君はこのデータを見て、ケビンが15年前から基礎理論の研究をしていたということ、そして先程あった少年がケビンであることを確信します。
そんなアレン君がうんうん、ぶつぶつ言いだすよりも早く、
シオンは迷いのない動きでサッとデバイスを取り出し、コンピューターをピッピといじり始めます。
KOS-MOSを直したい一心のシオンは、KOS-MOSの研究データを盗…いいえ、手に入れるため吸い出します。
KOS-MOSの基礎理論が分かれば、修理できるかも知れません。
シオンがデータをコピーしている間、アレン君はケビンの足止め役を任命されてしまいます!アレン君絶体絶命のピンチ!
アレン君が無茶振りに頭真っ白の緊迫状態に追い詰められている中、強靭なハートを持つ女怪盗シオンは鮮やかにデータを手に入れ、ふたりは部屋を後にします。
僕としてはシオンよりも、アレン君に感情移入して冷や冷や
ミズラヒ博士にケビンのことを伝えると、ある資料を被検者管理棟に持っていって欲しいと頼まれるので、被検者管理棟のある5Fへ
被検者管理棟
被験者管理棟に入り、目的の部屋へ向かう途中に寄り道をしていると ―
鉱山娘マイ・メイガスの父親の名前が被検者のリストの中にありました…
どうやら、マイの父テスラ・メイガスはU-TIC機関に抵抗し、強制連行された際、たまたま接続実験の適正が見られた。そのせいで、モルモットにされ命を落としたようです。
シオン『…ひどい、マイさんになんて説明すれば…。』
マイは父親が死んだと思ってはいますが、処刑されるよりも、もっと残酷な方法で殺されているとは想像していないでしょう。U-TIC機関が人の命を物のように扱う、非人道的な実験をしていることが分かります。
管理棟の一番奥の部屋に入ると、そこには、
まさか父親がいるとは思わず、恐れを含んだ声で『と、父さん―』と呟きます。
スオウはフェブロニアと被検者を接続させたいようですが、フェブロニアの回復が万全じゃないため、被検体の数値(生体情報のことだと思う)が安定していません。
それでも、スオウは接続の強行を指示します。
バージルの手術で臓器を失ったフェブロニアは、ラビュリントスで再生できると言っていたのですが、まだ完全には回復できていないのでしょう。
スオウがシオンに手伝うように指示をしたので、シオンがベッドのそばに寄ると、
なんと、ベッドで寝ていた被検者はシオンの母親でした。
スオウ『君、どうした?早くデータの確認をしたまえ!』
この様子を見たシオンは、我を忘れていきり立ち、大声でスオウを非難します。
アレン君&僕としては、「シオン言っちゃった!正体ばれちゃうよ!!」と焦りまくり。
母親が非道な実験の被験者であること、そして父親がその場にいながら止めようとせず、むしろ率先して母に手を下していることにどうにも我慢できなくなったのでしょう。
シオンの言葉はとどまることを知らず、次から次へと父親へ怒りがぶつけられます。
しかし、スオウも言われる一方ではなく ―
スオウ『何を言っているのか解らんが。』
シオン
『身内を被験者として差し出す非道さの事を言っているんです!』
『いいえ、彼女だけじゃないわ。どれだけ多くの人をあなた達は ―!』
スオウ『必然性があるからここに居る。それだけだ。』
シオン
『何の必然性ですか?このパーソナルデータ、ちゃんと見ているんですか?』
『明らかに意識下で苦しんでいるじゃないですか!病人をこんな事に ―』
スオウ
『バカな、単なる数値の問題だろう。』
『彼女は何も感じない。何も語らない。』
『こんなものは単なる末梢神経の反射反応に過ぎない。』
シオン『行為を正当化しようとして、こじつけているだけです!』
スオウ
『何だと言うのだ?こじつけているのは君だろう。』
『大体、たかがいち研究員である君に、本計画に口を挟む権利があるのかね?身分を弁えたまえ!』
シオンの両親に関するエピソードは伏せられているので、スオウの言葉をどう捉えれば良いのか分かりません。状態が悪い妻に『単なる末梢神経の反射反応に過ぎない』と言っているのは、もちろん冷淡ですが、ある意味論理的とも感じられます。例えば、意識混濁下の病人が痛みを感じているのかと言えば、怪しいと思います。スオウの中では、すでに死人なのかもしれません。
僕の勝手な想像では、スオウは妻のために実験をしている、もしくは妻の思いを果たすために実験をしているんじゃないかと思っているのですが、どうでしょう。ロマンス志向すぎですかね。
騒然とする部屋に、幼いシオンが入ってきます。
スオウ『母さんの事は父さん達に任せなさい。』
と、我が子を窘めます。
先程のやりとりを聞いたあとで、父親が母親の病気を治すために頑張っていると信じる子供の純真な気持ちを考えるとやるせなくなりますね。
シオン(大人の方)は、スオウに非礼を謝り、少女シオンを家まで送っていくと提案します。
シオンのこの嘘も、子供の頃に聞かされていたことが全て嘘だとたった今分かってしまった。そして、このあと母親が死ぬことも分かっていると考えると辛いですね。
お見舞い
大人のシオンと子供のシオンがいるので、ややこしい!
ということで、大人シオンと子供シオンと呼び分けることにします!
大人シオンは、子供シオンに家まで送っていくと言うと、子供シオンは古教会にいるバージルに花を持っていってあげると言います。
子供シオンは病院の前に花を植えて育てているのでした。
すると、そこへケビンがやってきて、大人シオンに持ち前の尖ったナイフを突きつけてきます!
ご覧ください。この顔を!
これがなんともまぁ、いやみったらしい言い方なんですよ!
タイムトラベル痴話喧嘩勃発
シオン『戦争という不自然な状況に対して、創造という行為で抗う事のどこがいけないんですか?』
ケビン
『互いの存在を賭けて戦うのは人の本質であり業だ。』
『それに抗おうとする方が不自然なんですよ。』
シオン
『ケビン・ウィニコットさん ―でしたよね?』
『あなた ― 本当にケビンさんなんですか?』
子供のシオンは、背後で繰り広げられている不穏な気配を知ってか知らずか、もう(そんなつまらんことはやめて)行こうよと言います。
ナイス、子供シオン!
ケビンを1%擁護するとしたら、過去にグノーシスによって故郷や母を失った経緯がありますから、世界に対して悲観的になっていて、夢や希望的観測を受け入れられないんでしょう。
とは言え、この苦味100%の青汁少年のどこをどうしたら、甘さしたたるスイートポテト紳士になるのだろうか…
シオンもあまりの印象の格差に、「こんなのケビン先輩じゃない!」ということで、『あなた、本当にケビンさんなんですか?』と聞いちゃいますが、
ケビンにしたら、『??哲学かな??』という気持ちでしょう(笑)
バージル吠える
古教会では、治療を受けたバージルをジンが介抱していました。
過去の世界と接触するのは危険だと言っていたのに、ジンは出歩いて良いのだろうか?
そこへ、シオンたちが部屋に入ってくるのに気付き、ジンは『シオン?』と反射的に言ってしまいますが、
大人シオンは、自分の名前が「シオン」だとバレたらまずいので、慌ててごまかします。
ジンも「しまった!!」と思ったようで、兄妹ふたりしてキョドります(笑)
花を見せられたバージルは、初め子供シオンの意図が分からない様子でしたが、自分を心配してのものだと分かると、ぶつくさ文句を言い始めます。
バージルの態度にシュンとなる子供シオンを見てさすがに気が咎められたのか、ぎこちなくお礼を言い、花を受け取りました。
『くそ、がらじゃねえ。』とバージルが決まりが悪そうにしているのを見て、大人シオンはふふふと笑います。
どうもバージルは人に優しさから離れた人生を送ってきたようですね。
もちろん、バージルは大人シオンにわんわん文句を言いますが、ご愛嬌さま。
そこへ、フェブロニアが現れ、『楽しそうですね。』とバージルのもとへ歩み寄りますが ―
バージルはフェブロニアに対し、敵意をむき出しにします。
バージルにとっては、レアリエンは戦闘マシンでしかなく、多くの仲間を殺した仇なんでしょう。
バージル
『貴様の一部が、俺の中に入ってると思うと反吐が出る!』
『体が満足に動く状態ならすぐにでも自害してやるぜ!』
それを聞いたフェブロニアは、
「そんなに軽々しく、命を捨てるなんて言わないで欲しい。」
「私達(フェブロニアとその妹達)は、人間の役に立つために生まれ、辛い実験に耐えているけれど、人を恨む気持ちはない。」
「それが生きている証だから。」
と言います。
フェブロニアはレアリエンに対するバージルの誤解を解こうと頑張ります。
バージルはなかなか心を抉るような罵倒をやめませんが、フェブロニアが最後に『貴方に生きていてもらいたい。』と言うと、さすがに響いたのでしょう。
戦意喪失し、そっぽを向いて寝てしまいます。(ちょっと可愛い。)
レアリエンは炭素から金属までいろんな素材で造られたものがあることは以前説明しました。「じゃあ、いわゆるロボットなのか?」という話になると、多くの人にとっては、“思考がどこで造られているのか?”という点が判定ポイントになるように思います。…実は、そこまでのところはデータベースにも書かれていないので、分かりません!とはいえ、「人工的に造られた」のは間違いないので、僕の仮説では、科学がめちゃくちゃ進んでおり、人間の思考アルゴリズム(心)が徹底解剖された!そして、機械でそれを再現して造り出すことが可能になった。とすれば、レアリエンの思考は、脳ではなく機械仕掛け(プログラム)で造られているんじゃないかと思います。ただし、フェブロニアのように人間の体組織を再現して造られたレアリエンの場合は、人工脳が頭に入っていると考えます。死体から生体を造り出す技術(ジギーやシェリィ、メリィなど)があるので、脳が作れてもおかしくないですから。
さて、結論を言うと、一般的なレアリエンはいわゆるロボットと考えて差し支えないと思います。対して、フェブロニアは”人工的”という点を除けば、ほぼ人間であると想像します。
その後、フェブロニアとシオンは教会の祭壇前でお祈りをします。
ふたりの様子を見ていた大人シオンとジンは、その場にいることが耐えられないという顔つきで教会を後にします。
シオンとジンは、母親が亡くなることが分かっていますから。そして、フェブロニアの妹達(セシリーとキャス)の悲惨な運命も知っています。
黒幕
場面が切り替わり、15年前のオメガ(プロトオメガ)のどアップが映し出されます。
そして、会話しているのはマーグリスとセラーズ。
セラーズの言葉が引っかかりますね。
ケビンがミズラヒをスケープゴート(身代わり)に!?
どうやら、U-TIC機関が起こしたとされているレアリエンの暴走を引き起こしたのは、彼らのようです。
マーグリスたちの目的は、連邦をけしかけてU-TIC機関と戦争させる。そして、U-TIC機関を追い詰めてゾハルを稼働に踏み切らせることでした。
マーグリスは、連邦軍とU-TIC軍の両方を指揮しています。連邦を裏切ってU-TIC機関に寝返ったのかと思いきや、U-TIC兵達も手駒に過ぎなかったようですね。
ということは、15年前のミルチアの悲劇を起こした元凶は彼らだったことが分かりました。そして、その中に、ケビンもいます。
前作プレイヤーからしてみれば、今の今まで、だいたいヨアキムのせいだと思っていた本作物語の最も重要な事件が、まさかのネタばらしにアレン顔(驚愕)です!!
セラーズが言うには、ケビンにヨアキムのY資料に関する情報を探らせているが、上手く行っていないらしい。
それにしても、ケビンが事件の黒幕だったとは、ショックです…
ケビンがなぜそのようなことをしたのか。幼い頃の復讐のためでしょうか。
ケビンがマーグリスやセラーズと共にいる理由は、ひとつには、ケビンが生まれた惑星ミクタムは移民船団発祥の地であり、ケビンを含めて全員が移民船団系の人間ということがあるでしょう。
ところで、最近移民船団の波動を感じる、KOS-MOSとそっくりな兵器を作った人がいましたが、におう…においますね!!
5章クリア
最近更新ペースをやや上げております。
5章はほぼ会話パートだったため、かえって時間がかかってしまいました
物語は、今までエピソードⅠ・Ⅱで伏せられてきた
ケビン
ヨアキム
シオンの両親
マーグリス&セラーズ
フェブロニア&バージル
などの真相が徐々に明らかになっており、一段と面白くなってきた!!というところです。
次回【パート21】
前回【パート19】
いやはや、実は少年の初登場パートで少年は重要人物に違いない⇨誰?⇨ケビンかロート・マンテル?
という発想はあったですが、何しろあのつっけんどんっぷりに、「ケビンは紳士的な男性だからさすがに違うか…」とケビンを候補から除外しておりました。