ゲームの悪影響について調べてみた【論文等】

ゲームをすると悪影響があるのか気になる方は多いと思います。

今回、僕の気になった二つの事柄について取り上げます。

  1. ゲームをすると頭が悪くなる?
  2. 倫理的に問題となる表現(暴力、性表現)が含まれる

これらについて研究論文や調査記事を調べてみました。

【方法】

論文:Google Scholarで検索➡類似の論文があれば比較的新しいものを調査➡英語論文はGoogle 翻訳を使用

調査:検索して上位に出てきた記事を参考

【注意事項】

・論文・記事の数が多いため、検索上位のものしか確認していない。

・どの論文・記事を読むかに僕個人の主観が大きく影響している。

・英語論文の場合、英語力不足で誤った解釈をしている場合がある。

・論文の信憑性の評価は知識不足のため困難。(掲載ジャーナル・影響度・内容等)

~調査の結果~

結論のみ知りたい方は目次から[結論]にジャンプしてお読み下さい!

「頭が悪くなる」ことについて

ドイツの子供を対象にした研究によると

ゲーム時間が長くなると2年後に成績が悪化すると推定できる。ただし、数学、読書能力については影響がみられなかった。ゲームが成績に及ぼす影響は小さいと考えられる。

<参考文献>
Gnambs et al.Do computer games jeopardize educational outcomes? A prospective study on gaming times and academic achievement.Psychology of Popular Media Culture, Sep 10 , 2018

東北大学が2011 年 7 月に日本全国の学生を除く 20~39 歳を対象に行った調査によると

ゲームのプレイ時間によって成績に大きな差があるとはいえないと考えられる。
最終学歴はゲームをしない人ほど高い傾向があるが有意差*の言及なし。

*有意差:偶然ではなく、意味があると考えられる。

睡眠時間に差はなかった。

結論

以上の文献から学校の成績という観点ではゲームをしても頭が悪くなるとは言えないと思われます。

「倫理的に問題となる表現(暴力・性表現)が含まれる」ことについて

Andersonらによって行われたメタ解析*によると

*メタ解析:複数の研究結果を材料に総合的な分析すること

暴力的なビデオゲームは、攻撃的な振る舞い、攻撃的な認知、攻撃的影響を増加させ、共感、向社会的行動*を減少させることを示している。

*向社会的行動:思いやり行動や他者に対する援助的な行動

<参考文献>
Anderson et al.Violent video game effects on aggression, empathy, and prosocial behavior in Eastern and Western countries: A meta-analytic review.Psychological Bulletin, 136(2), 151-173, 2010

ゲームをする側からするとドキッとする見解ですが、これには続きがあります…

さきほどの論文に対して反論するFergusonらの論文が投稿されています。内容は以下の通りです。

Andersonらの報告には方法論的問題がある。使用した論文・研究に偏りがある。分析結果が信頼できないなど。
また最近の研究では、暴力的なビデオゲームと攻撃性または暴力との関係についての証拠はほとんど見つかっていないことに触れています。

<参考文献>
Ferguson et al.Much Ado About Nothing: The Misestimation and Overinterpretation of Violent Video Game Effects in Eastern and Western Nations: Comment on Anderson et al. (2010).Psychological Bulletin, 136(2), 174-178, 2010

実はさらに続きがあって、反論に対する反論があるのですが、どちらが正しいかは素人には分からないところですね。

ちなみにFergusonらの行った研究によると

ビデオゲームは攻撃性に影響を与えない。
欲求不満およびうつ症状の減少を示唆する。

<参考文献>
Ferguson et al.The Hitman study: Violent video game exposure effects on aggressive behavior, hostile feelings, and depression.European Psychologist, 15(2), 99-108, 2010

これから分かるのは、暴力的なゲームがプレイヤーの暴力性への影響については、激しい議論があるようです。

さらに2015年のFergusonらの報告によると

101件の研究結果を総合するとビデオゲームによる攻撃性の増加、向社会的行動の低下、学力低下、抑うつ症状、注意欠陥兆候は極僅かである。
研究者の自由度と引用バイアス*1に関連する問題も、この分野で共通の問題であり続けている。出版バイアス*2は、攻撃性の研究のためには依然として問題である。

*1引用バイアス:研究の結果によって引用のされ方が異なり、よい結果が出ると多数引用され、多くの人に知られることになるが、これに対し結果がネガティブな場合あまり引用されず、研究の存在自体も認知されないので、メタアナリシスの対象にされにくくなるバイアスである。
<引用>浜田知久馬ら,医薬研究におけるメタアナリシスと公表バイアス

*2出版バイアス:否定的な結果が出た研究は、肯定的な結果が出た研究に比べて公表されにくいというバイアスである。
<引用>wikipedia

<参考文献>
Ferguson et al.Do Angry Birds Make for Angry Children? A Meta-Analysis of Video Game Influences on Children’s and Adolescents’ Aggression, Mental Health, Prosocial Behavior, and Academic Performance.Perspectives on Psychological Science, 10(5), 646–666. 2015

また、性表現の影響についても調べてみました。

研究の参加者を「Madden NFL 12」(スポーツゲーム)をするグループと「Grand Theft Auto」(クライムアクションゲーム)をするグループにランダムに割り当てて女性に対する否定的態度を高めるかどうかを調べた研究があります。

ちなみに「Grand Theft Auto」についてはゲーマーならご存知と思いますが

『グランド・セフト・オート』は、アメリカのニューヨークにあるゲーム制作会社、Rockstar Gamesが発売したコンピューターゲームのシリーズ。街中で突然に人を殺害したり、車両を盗んで走り回るなどの犯罪を中心にした内容が特徴で架空又は、実在する部隊、又は人物などが登場する事が大きな特徴。
引用元:Wikipedia

研究の結果

ゲームプレイ後に強姦神話*の受容に差はみられなかった。逆に強姦神話の受容が減少した

*強姦神話:強姦の加害者や被害者、性的暴行に対して持たれる、偏向していて類型的な、間違った信念である
引用元:Wikipedia

<参考文献>
Beck V, Rose C.Is Sexual Objectification and Victimization of Females in Video Games Associated With Victim Blaming or Victim Empathy ? Journal of Interpersonal Violence, 2018

結論

これらの結果から、倫理的に問題となる表現に触れたことによってプレイヤーの倫理観が大きく変わることはないのだろうと思います。

調べてみた感想

今回の調査した結果としては、ゲームの悪影響はそれほど気にしなくてよさそうです。

ただ、調べているとゲームに対して良い影響から悪い影響まで様々な報告があることが分かりました。

初めは論文を調べれば確かなことが分かると考えていましたが、論文によって結論はまちまちであるという印象を受けました。

そもそもゲームによる影響をアンケートや心理テストにより調べること自体限界がある気がします。

あくまで個人的な意見ですが、

・ゲームによる影響よりも本人の気質、信条、宗教、経済的背景、加えて家族や学校など周囲の環境による影響の方が大きいと思われるので影響を取り除く必要がある。

・ゲームをした瞬間に影響が出るわけではないと思うので、十分な期間の変化を見る必要がある。

・特定のゲームの影響を調べたい場合、実験群は特定のゲームしかさせない、対照群は特定のゲームをさせない必要がある。

これら全てを満足するかたちで研究するのは非現実的かなと思います。

特に注意したいのは、インターネットで検索すれば自分の望む結果が手に入るという点です。

例えば、「ゲーム 良い影響」と検索すれば良い影響を取り上げた記事がずらり、
「ゲーム 悪影響」と検索すれば悪影響がずらりという感じです。

どの情報が信憑性が高いのかを情報のソースまで確認して判断することが大切だと感じました。

本記事の調査中にゲームが脳に与える影響について詳しく書かれた記事に出会いました。
情報の信憑性が高く、デザインも分かり易くて非常にオススメです!

ゲームが脳に与える影響を詳しく解説
ゲームが脳にとって良い影響を与えるという研究結果が最近増えています。 主に認知能力や注意欠陥の改善に繋がるというものです。 意外にも視力の向上まで認められています。具体的にどんな影響があるのか?ゲーム脳の嘘についても説明します。

【2019/2/7追記】

長時間暴力的なビデオゲームをすると脳が攻撃的になると書かれた新聞記事がありました。

本記事は心理学的な研究を参考にまとめましたが、脳科学的な研究に関しては未調査だったため新たに文献を調査しました。

ゲームで脳が攻撃的に?-朝日新聞「ゲーム依存は、病気です」を読んで
2019年1月26日、朝日新聞「ゲーム依存は、病気です」という記事より。「脳が攻撃的に(略)」という中見出しで暴力的なビデオゲームによって攻撃的になる、他人の痛みに鈍感になると書かれており、それに関して研究論文をもとに反論と考察を述べます。

<関連記事>

ゲームのメリットとデメリット
この先ゲームを趣味にするために、ゲームのメリットとデメリットを問い直します。趣味の弱みを克服し、強みを活かすことができれば仕事や家庭に忙しい社会人でも堂々とゲームを趣味にできるのではないでしょうか。現在5つのメリットと、7つのデメリットについて解説しています。
トップへ戻る